衛星電波シンチレーション観測

概要

GPS等の衛星測位の精度には図1に示すような様々な要因で誤差が生じます。この中で電離層は最も大きな誤差要因です。また、高緯度帯で発生するオーロラは、測位衛星からの電波を揺らせる電離圏擾乱(GPSシンチレーション)の要因となることが知られています。

GPSシンチレーションは、測位誤差の増大や、GPSの受信障害を引き起こします。本計画は、昭和基地において衛星測位に深刻な影響を与える電離圏擾乱の現象および影響の測定(図2)を行い、衛星測位の高度利活用に資することを目的としています。

図1 衛星測位の誤差要因
図1 衛星測位の誤差要因
図2 南極昭和基地における衛星電波シンチレーション観測装置の設置場所(黄色の印)
図2 南極昭和基地における衛星電波シンチレーション観測装置の設置場所(黄色の印)

測定項目

この装置は、図3のように全電子数や図4のシンチレーションが観測ができます。

図3 GPS-TEC(全電子数、Total electron content) は、GPS電波の電離大気による位相速度遅延・群速度遅延から求められる。
図3 GPS-TEC(全電子数、Total electron content) は、GPS電波の電離大気による位相速度遅延・群速度遅延から求められる。
図4 GPSシンチレーションはGPS電波の強度や位相の乱れで観測できる。
図4 GPSシンチレーションはGPS電波の強度や位相の乱れで観測できる。

観測装置外観

衛星電波シンチレーション観測装置(図5)及びアンテナ(図6)です。これらの装置は、上記の設置場所3ヶ所に同じ観測装置が設置されています。

図5 衛星電波シンチレーション観測装置
図5 衛星電波シンチレーション観測装置
図6 アンテナ
図6 アンテナ