昭和基地における
電離圏観測の歴史

1957-1958年の国際地球観測年(IGY)の活動の一環として幕を開けた日本の南極観測において、電波研究所(現NICT)は黎明期から継続的に隊員を南極に派遣し、電離圏観測を実施してきました(図1)。

第1次隊では、南極観測船「宗谷」の船上にイオノゾンデとアンテナを設置し、南極及びその移動中の航路において電離圏観測を実施しました。昭和基地での定常観測は第3次隊(1959年)からスタートし、それから毎回南極に隊員を派遣して定常観測を継続しています。この間、イオノゾンデを用いた電離圏の垂直観測に加え、オーロラレーダ、リオメータ、短波電界強度測定、VLF電波測定等、様々な観測を昭和基地において実施し、オーロラ粒子降り込みの2次元分布特性や太陽活動サイクルにおける電波オーロラの発生頻度特性の解明などの成果を挙げてきました。

図1 ボトムサイドサウンディング(イオノゾンデ)の観測原理の模式図
図1 第1次南極観測隊に参加した電波研究所隊員(「南極電波観測の二十五年」より)